指輪の意味

太古の時代、指輪は聖なるあかし、そして魔力の象徴でした

 

 

現在まで残っている最古の指輪は、古代エジプト、クフ王朝の墳墓から発見された指輪だとされています。第12王朝時代のころから、エジプトの王侯貴族が指にしたリングには聖なる虫であるスカラベ(カブトムシの1種)を彫ったり台座にあしらったデザインが目だつようになりました。

 

第18王朝あたりから純金製のリングが現れはじめますが、デザインは単調で、装飾性よりも重量感のある大ぶりの指輪が好まれるようになります。最初、指輪とは権力者がつけるアクセサリーであり、古代エジプトでは王は太陽神の子であることから指輪は聖なる者に許された装身具、つまりは権力と聖なる者のあかしであったのです。

 

ところが第18王朝の時代には貴族たちは象牙や琥珀の指輪で身を飾り、庶民もガラスや陶器、青銅などの指輪をつけるようになり、指輪の流行は広く一般的なものとなります。

 

オリエントに起源をもつ指輪はイタリア、ガリア(現在のフランス地方)、ゲルマン(同ドイツ地方)、ブリテン(同イギリス)、ケルト(同アイルランド)などヨーロッパ全域に伝わりました。ヨーロッパ各地でも当初の指輪は権力者、有力者のアクセサリーであり、また薬指の血管が心臓につながっていると考えたケルト人を中心に薬指の指輪は魔力をもつと信じられてきたのです。